ルーツは保存食
前回から引き続き豚バラ肉のレシピ、フレンチのビストロなどではポピュラーな“リエット”をご紹介します。“プティサレ”同様、これも保存食で、500年ほど前からフランスのトゥーレーヌ地方で親しまれてきた郷土料理です。本場のものはラードなどを足して煮るため、こってりと脂を含んでいますが、僕はあまり脂が好きじゃないのでサッパリと仕上げました。なのでバターの代わりに、というカンジではありませんが、バゲットに塗って食べるととても美味しいペーストです。
豚バラ(ブロック)とタマネギを2cm角にカットします。深めの鍋にオイルをすこし入れ、タマネギ、ローリエ、タイムを炒めて香りを引き出します。つぎにバラ肉を入れ、「肉じゃが」をつくるような感じで軽く炒めます。ここはわりとテキトーでかまいません。なじんだところで水と白ワインを入れ(分量は“ひたひた”で)塩をします。ワインがなければ日本酒や焼酎でもOK。
アクは一気に取る
強火にして鍋が沸騰したら、一気にアクを取ります。煮汁ごと大胆にごっそり。この時点ではさほど出汁が出ていないので、ためらわずに煮汁も捨てます。ちなみにフレンチの厨房では「エキュメして!」と言います。初めの沸騰でしっかりアクを取ることが大事なポイント。あとは弱火で2時間ほどゆっくり煮込みます。たまにかき混ぜて、煮汁がすくないようなら水を足しましょう。
肉を木ベラでつついてほぐれるくらい柔らかくなったら、強火にして水分をとばしつつ、シーチキンのフレークみたいになるまで肉をかき混ぜ、つぶしていきます。木ベラでうまくほぐれないようなら煮込みが足りません。あわててかき混ぜるとアブラがはねるのでゆっくりと。肉の繊維を崩すことで脂とうまくからみ、水分がぬけて照りが出てきます。
塩とコショウをしっかりとして、バターをひと切れ。よく混ぜます。ココットに入れてラップをし(乾燥させないため)、アラ熱がとれたら冷蔵庫でしめて出来あがり。スグ食べられます。