海の自然塩
美味しい食材でも、
さらに旨さを引き出してくれるのが塩。
だから、海水をそのままに取り出した自然海塩がいい。
味が際立つばかりか、身体に優しいミネラルも豊富に含まれている。
何しろ生物の起源は海なのですから。
海はきれいにしましょう !!ミネラルの多い海の塩
何と、1996年まで日本で作られた塩は化学塩だった。
これはイオン交換膜法によって作り出された精製塩という名の99.6%という塩化ナトリウム。純度が高ければ美味しいというのなら、お酒なんかもアルコール99.4%の純度の高いものがいいというのか。何を考えているんだか、と思っていたらやっと1997年にこの悪法は改正された。その薬のような化学塩に対して登場してきたのが、自然海塩である。
地球船の表面7割を占めるのが海。水でいえば97%は海水である。
海水を蒸発させると塩化ナトリウムが91%。残りは「にがり」といわれる塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、それに鉄、マンガン、コバルトなど60種類以上の元素が含まれるミネラル分である。
自然海塩とは、その海水が含んでいる多くのミネラルをできるだけ残すように作られた塩のこと。
この超微量のミネラルは、筋肉を正常に動かしたり、ホルモンの分泌を調節するなど、大事な働きがあります。
自然塩の作られ方
●天日海塩
海水の濃縮をある程度まで天日で行い、その後で火を使って釜焚きして結晶させたもの。
温度管理や濃度管理が自在なのと、天候に左右されないので、現在の自然塩といわれる塩はほとんどこの製法で作られている。●完全天日海塩
海水の濃縮から最終の仕上がりまでに火を使わずに、天日(太陽と風)の力だけで乾燥させたもの。天候に大いに左右されるの、時間がかかり、収量も安定しない。●岩塩
海だったところが地殻変動などの理由で、地下に埋もれてしまったり、山になってしまったりして、何千年もかけて徐々に乾燥してできた岩塩層の塩。時間がかかっているだけにより自然塩という感じがするが、結晶過程でそれぞれの成分が分離しているので、もう一度再結晶させて作る。●再製塩
悪法がまかり通っていた時でも、じつは自然塩があった。赤穂の天塩・伯方の塩などの再製塩である。これは忠臣蔵の地赤穂で作っていたわけではなく、外国から輸入した天日海塩ににがりを加えて再結晶させた再生自然塩である。
塩は加工品なので加工地の名前が付けられても構わないので、日本の地の名がつくのである。{外国から輸入の天日塩とうたっているものがあるが(その多くはメキシコやオーストラリア産)、この天日塩は1年から2年もかけて採取するので、ミネラル分はほとんど飛んでしまっている。あまり精製塩と変らぬ塩化ナトリウムの純度の高さとなっている。だから日本でにがりを加えて再生するのだ。}
美味しい自然海塩とは
なにしろ海水には92種類のミネラルが確認されている。塩を取り出すために、あれこれ手を加えていくとミネラルはどんどんなくなる。そうなのだ。美味しい塩とは、このミネラル分をどれだけ失わずに作れるかということにある。塩化ナトリウムが少なく、有益なミネラル分が豊富な塩は、舌に甘さを感じさせながら、まろやかな旨みがある。他の多くの農産物と同じく、美味しい塩は生産者の技による。そして、その塩を採取する海がきれいであることが大切なのだ。
私たちは美味しい塩を食べるためにも、海を汚してはいけないのである。