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週刊まちぶら

ぬるっとした美人の湯/美又温泉かいわい

2007年10月23日

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家古屋川沿いに旅館が立ち並ぶ美又温泉=浜田市金城町追原で

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12月まで、毎週土曜日夜にある神楽。迫力ある大蛇の舞にお客さんたちも拍手していた

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温泉街の中には、家族経営の小さな旅館が並ぶ

◆◇見てよ ふるさと◇◆

 浜田市金城町の山あいにある美又温泉は、自然に囲まれた、小さな温泉街だ。無色透明でぬるっとしたお湯は「美人の湯」として有名。山の緑と清流が、来た人に安らぎを与える。(文・写真 西江拓矢)

 早速、美又温泉国民保養センター(入湯料大人500円)に入ってみた。

 お湯は、アルカリ性の単純泉で、においはなく、無色透明。浴槽につかると、お湯の特徴がすぐにわかる。ぬるっとしていて、手で肌を触るとすべすべした感じがするからだ。初めて入った人は「とろっとするなあ」と驚いた表情。その効果から、美又の湯を使ったボディーソープや化粧水も作られているほどだ。

 ■山と川に囲まれ

 風呂から上がり、旅館が立ち並ぶ長さ150メートルほどの温泉街を歩いてみた。街に沿って家古屋川が流れており、川面をわたる風が気持ちいい。山と川に囲まれた街には、何か、ほっとさせる空気が流れている。

 9月から12月の毎週土曜日の夜には、温泉街の端にある美又温泉会館2階で神楽公演(無料)も行われ、宿泊客らを楽しませている。

 ■家族経営の旅館

 美又温泉の歴史は140年ほどで、現在は、保養センターを含めて9施設が営業している。ほとんどが、家族経営のこぢんまりした旅館だ。とらや旅館はかけ流しのお風呂が自慢。経営している横田浩さん(45)は「我が家のような感じで気軽に来られる宿屋を目指している」と話す。浜田自動車道を使えば広島市内から約1時間という利便性もあり、宿泊客のほとんどが広島からという。

 バブル景気に世の中がわいた20年ほど前は、ゴルフやスキーの客で、目が回るほどの忙しさだったとか。山根旅館の山根克也さん(51)は「子供を背負って、台所に立っていた」と当時を振り返る。

 バブル崩壊後、にぎわいは急速に去った。ある旅館では「お客さんが3分の1になった」との声も聞いた。近隣に温泉施設が次々にできたことも影響しているという。

 とはいえ、石見銀山遺跡の世界遺産登録、山陽方面の景気回復など、明るい材料も見えてきた。美人の湯として、女性の注目度は高い。山根さんは「お湯はどこの温泉にも負けない。各旅館が個性を出していけば、きっと生き残れる」と力を込めた。

☆★笑顔に会いました★☆

☆温泉効果で お肌すべすべ☆

 「美又温泉の美肌効果は抜群です」。とらや旅館のおかみ、横田裕美子さん(46)は言う。旅館に嫁いで20年あまり。毎日、温泉に入っている。入浴後は、化粧水などを使わなくても、肌はつるつる、すべすべ。普段、ほとんど化粧をしないが「この前は、10歳も若く見られました」とにっこり。

☆ブランド力 強化へ知恵を☆

 「美又温泉のブランド力の強化が必要だ」。そう話すのは、金城観光ホテル支配人の佐々木健久さん(39)。同ホテルは、美又唯一の露天風呂を備え、アワビや和牛など複数の会席コースを用意するなど工夫を凝らす。「個々の努力では限界がある。先を見通して、温泉全体として動いていきたい」

☆趣味の木彫り 十二支彫る☆

 趣味で木彫りを楽しんでいるのは、有田酒店の有田義正さん(73)。今年初めに干支(えと)のイノシシを彫ってから、おもしろさに目覚めた。十二支を彫り、店の中などに飾っている。写真や実物を見て彫るのではなく、すべて想像。「彫った虎を見て、猫だと言う人がいる。表情を作るのが難しいね」

☆温泉通にほめられる喜び☆

 「あちこちの温泉に入った人が、『やっぱり美又のお湯が一番いい』と言ってくれるのがうれしい」と話す美又温泉旅館組合組合長で旅館みくにやの岩元雅博さん(56)。自身、美又で生まれ育った。「美又は、山と川に囲まれ、自然が豊か。夏には近くでホタルも舞う。この環境を生かしていきたい」

◇◆よりみち わきみち まわりみち◆◇

◆美又温泉会館◆

 温泉街の端にある入浴施設で、夕方になると地元の人たちも多く利用している。入湯料は、大人250円。利用時間は、午前8時(土日祝は午前6時)から午後9時半。1階には観光案内所(0855・42・1686)があり、チンゲンサイやキュウリなど地元でとれた野菜や、手作りクッキーなどの販売もしている。

◆美又饅頭◆

 温泉のおみやげ、美又饅頭(まんじゅう)。昔からの製法を受け継ぎ、小豆のあんを小麦粉で作った皮で包んで蒸している。甘すぎない素朴な味が特徴だ。味が忘れられず、県外から送って欲しいとの注文もあるという。温泉街の中に店があるほか、国民保養センターなどでも売っている。10個入り430円。大和屋(0855・42・1065)。

◆美又温泉スタンド◆

 自宅で美又温泉を楽しんでもらえるように、温泉街のはずれに作られた温泉の自動販売機。源泉の温度は47・4度あるので、持ち帰ってそのまま入浴できる。料金は、10円で20リットル、100円で200リットル。タンクを持参し、ホースから出てくるお湯を自分で入れる。一般家庭用でだれでも利用できる。問い合わせは、浜田市金城支所産業課(0855・42・1233)へ。

 毎週、県内あちこちにある通りを記者が訪れ、その魅力を紹介します。知る人ぞ知る通りや、とっておきの通りなど、みなさんのおすすめ情報を、朝日新聞松江総局までお寄せください。お便りは〒690・0884 松江市南田町32、ファクスは0852・27・2308、eメールはmatsue@asahi.comまでお願いします。

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