有価証券
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有価証券(ゆうかしょうけん)とは私法上の権利(財産権)を表章する証券であって、それによって表章される権利の移転または行使が証券の授受によってなされるもの(証券の占有を必要とするもの)をいう。日本法においては、商法等と刑法において定義が若干異なる。
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[編集] 概説
有価証券は商法などの各法に規定されるものの他、商品券・図書券といった金券、交通機関の乗車券、有料施設やイベントの入場券、宝くじ・馬券・車券・舟券の当たり券などがこれに含まれる。これら有価証券については、その高い経済的価値に鑑み、各種の法的規制がなされている。
なお貨幣(通貨、現金)は、権利を表章するものではなく価値そのものであることから有価証券とは区別される。
近年はプリンター・スキャナー(コピー機との一体型もある)といったパソコン関連製品の普及に伴い、有価証券の無許可複製が横行しているが、これはたとえ公の場で使用しない(個人的コレクションで保有する)場合であっても違法行為と見なされ厳しく規制されており、悪質な場合は刑事処罰の対象となる場合がある。
[編集] 商法上の有価証券
商法(会社法、手形法等を含む)に規定される有価証券には次のようなものがある。
- 為替手形(手形法)
- 約束手形(手形法)
- 小切手(小切手法)
- 株券(会社法214条)
- 社債券(会社法676条6号)
- 新株予約権証券(会社法288条)
- 貨物引換証(商法571条)
- 倉庫証券(商法598条)
- 船荷証券(商法767条)
[編集] 金商法上の有価証券
金融商品取引法上の有価証券は、同法2条1項2項に規定されている。1項には、券面の発行され比較的流通性の高い伝統的な有価証券が規定されており、2項柱書前段ではそのような有価証券に似るが券面の発行されないものが有価証券とみなされている。両者を併せて「第1項有価証券」という。さらに、2項柱書後段及び各号において、新たに設けられた類型の流通性の低いものが有価証券とみなされている。これを「第2項有価証券」という。
[編集] 刑法上の有価証券
刑法上の有価証券であるためには、商法などの有価証券とは若干異なり、流通性は要求されないと解されている。通貨に類似する性格を持つため、通貨に準じて有価証券偽造等の罪において処罰の対象とされている。
テレホンカードやプリペイドカードといった電磁記録化されたものが有価証券であるかについては日本刑法上争いがあったが、判例は原則としてこれを肯定しており、それを偽造・変造する行為等を有価証券偽造等の罪の対象となることを肯定した。その後2001年(平成13年)の刑法改正により支払用カード電磁的記録に関する罪が新設されている。