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第2章 個人と社会のあり方

1 求められる自立のための条件整備

○ 個人と「場」との関わり方は変化してきている。これまでは、「家族」、「職場」、「地域社会等」といった「場」に取り込まれるように個人が帰属し、どのような「場」にどれだけ深く帰属するかについて個人が考慮しないか、又は考慮するとしても自発的に決めることは困難である場合も多かった。しかしながら、今日、「場」との関わり方について個人が自発的な意思で決定できる場面や環境が拡大してきているといえる。

○ 個人は、孤立するのではなく何らかのつながりを求め、そうしたつながりの中で自己を見出そうとしている。個人は「家族」・「職場」との間においてはより緩やかなつながりを持つ志向を強めるとともに、「家族」・「職場」以外の「場」と価値観に応じてつながる意識が高まりつつあると言うことができる。

○ 個人は多様な価値観に応じて複数の「場」とのつながりを持つ志向を強めているが、複数の「場」とつながりを持つことは、一つのつながりにおいて充実感を得られるのが困難な状況に陥っても、他のつながりを充実させることにより自己が活性化するなどの効果が見込める。

○ 個人がそれぞれの「場」とのつながりを適切に持てるようにするとともに、多様な価値観に応じて幾つかのつながりをバランスよく選択できるようにする必要がある。加えて、ボランティアなど新たな「場」の創出を支援することが望ましいといえる。

図2-1-2 望ましいつきあいのしかたの図


図2-1-5 充実感を感じる時(複数回答)の図

2 個人の自立と社会

○ 自立のあり方を決めるのは個人に他ならないが、個人は社会の一員でもある以上、個人の自立に向けての行動が、社会を支えるものとして機能していることが重要である。

○ 就労は経済社会にとって大きな意義を持つが、若年者の一部には職業意識に乏しい者がおり、本人のみならず、社会にとっても損失となる面があるといえる。

○ 高齢者や育児期の女性の中には、就業意欲を持ちながら就業できていない者がおり、就業に結びつけていく努力が社会に求められる。

○ 地域社会における従来型の共同体にしばられなくなった個人は、多様な価値観に応じ、自発的に地域における各種団体・組織を選択し、参画するようになってきており、こうした団体・組織の中には、社会に有意義な活動を行うものも多い。

図2-2-3 大卒無業者率と有効求人倍率の推移の図

3 自立と連帯

 個人が自立への志向を強める中、個人の活き活きとした自立に関する取組みを可能にする仕組みは、ますます重要となる。個人の自立志向が高まると、連帯もまた重要になってくるということができる。社会的な連帯があってはじめて個人は活発に自己実現を追求できるようになるものと考えられ、個人の人生の充実、ひいては社会の活性化にもつながる。

図2-3-3 年齢別社会志向、社会貢献、世代間連帯賛成者の割合の図



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