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ガイド:石原 敬子
いまさら聞けない経済用語
掲載日:2004年07月29日

社会人の常識!?いまさら聞けない経済用語(7) 持ち株会社とは?

よくわかる経済」   ガイド:石原 敬子  このページをクリップする
新聞
新聞で見かける「持ち株会社」っていったい何?
このごろ耳にする「○○ホールディングス」「△△グループ本社」という会社名。これらは持ち株会社制度といって、97年に解禁された企業経営の新しい仕組みです。

今までの親会社・子会社と何が違うのか?なぜ企業は持ち株会社制度を導入してきているのか?経営上どんな戦略で、どんなメリットがあるのか?この「持ち株会社」について詳しく見ていきましょう。


■ INDEX
持ち株会社には2つの種類がある(1P目)
急に持ち株会社が増えたワケ(1P目)
銀行グループの制度かと思っていた?!(2P目)
持ち株会社にしたらどんなメリットがあるの?(2P目)


持ち株会社には2つの種類がある

■事業持ち株会社

自ら事業も行ないつつ、企業の株式を持っています。事業と企業の支配を兼業しています。従来の「株式持ち合い」はこのことで、例えば、銀行が系列会社の自動車会社の株を持ち、自動社会社も、銀行の株を持っている。でも、銀行は金融業という銀行の業務を行なっているし、自動車会社は自動車を生産するという業務を行なっている。

この形態の株式の保有は、以前からもずっと認められていました。日本経済における通常の株式の保有です。

■純粋持ち株会社

単に、「持ち株会社」と言ったときは、この「純粋持ち株会社」を指します。「○○ホールディングス」「△△グループ本社」と言った時は、このケースです。主に、グループ内のほかの会社の株式を持って、グループ全体の中核となる会社のことです。他の会社を支配することを主業務とします。つまり、自ら製造や販売と言った事業は行ないません。では、この会社の収入は?というと、持っている会社の配当が収入となります。

急に持ち株会社が増えたワケ

電話
企業の経営戦略とは?


1997年12月に独占禁止法が改正されて、今まで禁止されていた純粋持ち株会社を解禁することになったからです。

■なぜ今まで禁止されていたか?

戦後の財閥の復活を阻止するためでした。第2次世界大戦前の旧財閥は、日本経済を支配していたと言っても過言ではなく、自由競争の面から持ち株会社を禁止していたのでした。

■それをなぜ解禁したのか?産業構造の変化が加速する中で、純粋持ち株会社の方が経営戦略上、望ましいと言う声が産業界を中心に高まったのです。

純粋持ち株会社は、グループ傘下に、それぞれの事業に特化した企業を持つことになります。大きな企業の一事業部門が独立し、持ち株会社下の一企業にもなります。グループ全体の戦略としては、事業部門を切り離したり、似たような事業の子会社同士を統合したり、新規事業へ参入したりがしやすい、といったことが挙げられます。

現に、世界の有力企業が純粋持ち株会社制度を活用して、事業の整理・統合や吸収・合併などを効率的に進めていました。先進国で純粋持ち株会社が禁止されていたのは日本と韓国だけだったのです。

そんな中で、日本も効率的な企業経営をしないと国際競争に立ち遅れるという危機感も強まっていました。純粋持ち株会社制度ではリストラをしやすいため、円滑に企業再編を行なう目的で解禁を強く政府に求めた、という事情もあったでしょう。

ところで、このたび世間を驚かせた三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングス、この合併問題も持ち株会社であるからこそ動き出した、といっても良いでしょう。

次のページでは、金融グループにおいての持ち株会社制度についてご説明します。
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