2015年 8月29日
〈活字文化〉絵本・児童書 新刊特集 戦後70年 平和を考えるために
この夏、戦後70年に際し、戦争や平和をテーマにした本がたくさん出版されました。特に、小学生や中学・高校生向けの優れた作品が、数多く発刊されています。今回は、平和を考える上で参考となる絵本や児童書の新刊本から、代表的な作品を紹介します。
私の八月十五日②
戦後七十年の肉声
8・15朗読・収録プロジェクト実行委員会 編
“日本が太平洋戦争に負けた日、自分はどこで何をしていたか”をテーマに、漫画家や作家、各界の著名人から寄せられた文と絵が物語る、戦争の実像。やなせたかし、高倉健、赤塚不二夫らの寄稿も収録されている。
本書は『私の八月十五日① 昭和二十年の絵手紙』の続刊。「8・15」を13歳以上で、6~12歳で、5歳以下で迎えた人に、それぞれ分類。戦中・戦後の貴重な感慨が、克明に。
◆今人舎 3024円
ガザ
戦争しか知らないこどもたち
清田明宏 著
「ここでは、6歳以上の子どもはみな、3回以上の戦争を経験している」
中東の都市ガザに住む180万人の70%以上がパレスチナ難民。昨夏のイスラエルとガザの戦争で、市民1600人の命が奪われ、そのうち500人が子どもだったという。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)保健局長の著者が伝える、現地の惨状と暮らし。大いなる悲しみと、一筋の希望。
◆ポプラ社 1620円
アンネのバラ
40年間つないできた平和のバトン
國森康弘 文・写真
東京・杉並区の高井戸中学校で40年、咲き続けている美しいバラの花。品種名は「アンネ・フランクの形見」という。
昔、国語の授業でアンネ・フランクを知った生徒たちは、アンネ宛の手紙を文集にして父親のオットー・フランクへ。それを機に贈られた3株の苗を、同校では“平和のシンボル”として現在160株までに。容易ではないバラの世話を続ける原動力は――心打たれる写真絵本。
◆講談社 1620円