子どもを誘拐から守る、実態と防犯

 

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子どもへの声掛け・誘拐の事案、自らの欲望を動機とした悪質な犯行は後を絶ちません。
近年では携帯電話の普及もあり世間の防犯への意識が高まっていますが、反面でインターネットで誰でも簡単に他人との繋がりを持てるようになった分、 近所での声掛け・誘拐の手口は従来のままに、インターネットを利用した誘拐事件も多数発生しています。
2017年においても子どもが誘拐され、帰らぬ人になった非常に痛ましい事件が何件も起きています。
また、2016年における未成年者が被害に遭った誘拐事件(略取誘拐・人身売買)の認知件数は【183件】となっており、過去10年間を通して最も多い件数となっています。
しかしこれはあくまでも【認知件数】におけるデータですので、氷山の一角に過ぎず「誘拐予備軍」である声掛けに至っては防犯メールや警察署のSNSで連日事案報告がある程です。
このように、子どもへの声掛けが蔓延している今、防犯の備えがなければ保護者の目が届かない時にいつどこで何があっても子どもを守る事は出来ません。
備えあれば憂いなし。大切なお子様を守る為、声掛け・誘拐の傾向のデータと共に保護者が出来る防犯、子どもと出来る防犯をご紹介致します。

index

・いつどこでどんな子どもがどんな理由で狙われる?
・声掛け・誘拐の手口
・防犯の手段
・位置情報で確実に見守る
・おわりに

いつどこでどんな子どもがどんな理由で狙われる?

警視庁によると声掛け・誘拐は親や教師といった保護者の目がない、登下校の時間帯に通学路で狙われる事が多くなっています。
道路は公園や駐車場などに比べて人通りが少なく幅員も狭い分、障害物で死角も出来やすく不審者にとっては非常に狙いやすい場所と言えます。
声掛け・誘拐の動機として、従来は身代金要求など金銭を目的としていた認識が一般的でしたが、昨今では子どもそのものにいたずらをしたいという動機であるケースが多く発生しています。
ですので一概に「お金持ちの家の子どもではないから」と安心する事は出来ません。
併せて、子どもそのものを狙うならば性別・年齢の対象も女の子や小学生に限った事ではありません。
「自分の好み」であるかが声を掛け誘拐を行うかの基準となってしまうだけでなく、中には誘拐出来そうな子どもならどの子でも良いと考える不審者もいます。
この結果は警視庁の統計データにも出ており、2016年の19歳以下被害者の略取誘拐の認知件数は183件であるのに対し、身代金目的の誘拐事件の認知件数は成人の略取誘拐の認知件数も含めて2件です。
また、学種別においても小学生が最多の被害認知件数となっていますが、中学生・高校生が被害者となった誘拐事件は年々増加傾向にあります。

主な罪種における19歳以下被害者の学職別認知件数の推移
2014 2015 2016
略取誘拐・
人身売買
全認知件数 159 148 183
未就学 33 31 32
小学生 71 51 67
中学生 22 24 35
高校生 21 32 35
その他 12 10 14
身の代金目的略取誘拐認知・検挙状況の推移
2014 2015 2016
認知事件数 1 2 2
検挙事件数 1 2 2
検挙人数 1 12 6

引用元:警視庁ホームページ

「うちの子は男の子だから大丈夫」「まさか中学生や高校生に声を掛けないだろう」と思わず全ての子ども・未成年者が狙われる可能性があると考えた方が良いでしょう。

声掛け・誘拐の手口

実際に誘拐事件においては、被害者の半数以上がだまされるなどして自ら付いていってしまうと言われています。
声の掛け方、話し方も如何にしてだまそうかと巧妙で多種多様。
ここではパターンに分けて全国の警察署に報告された巧妙な手口をご紹介致します。

1・親切を装う、親しげに近寄る

「お母さんが事故に遭ったから病院につれていってあげる」
「寒いから送ってあげる」
「お母さんに一緒に遊ぶように頼まれた」

2・子どもの興味のあるものを話題にする

「1万円あげるからおいで」
「おもちゃをあげるからおいで」
「テレビ番組のインタビューに答えてくれませんか?」
「芸能人になりませんか?」

3・助けを求める

「駅までの道が分からないからついてきてほしい」
「おなかが痛いからさすって」
「足をくじいた。自転車に乗せてくれ」

4・不安や恐怖を覚える行為を伴うもの

上記の声掛けを断ったら衣服を掴まれた。
「こっち来い、早く来い」と声をかけられ、体を触られた。
「学校どこ?」などと声をかけられ、つきまとわれた。
助けを求めようと携帯電話を手に取ったら無理やり奪われた。
腕を引っ張られて車の中に入れられそうになった。

上記のものはほんの一例であり、子どもの純粋な善意や好奇心に付け込んだ悪質な誘い文句が多くあります。
また、4のパターンのように誘いを断ったりしても大人の体力の強さを利用して体が未成熟な子どもを力づくで誘拐しようとするケースもありますので、 こうした誘い文句を子どもに言い聞かせる事で子どもが騙されずに断れるようになるのは勿論ですが、無理やり誘拐されそうになった時にも対抗できる防犯手段を講じましょう。

防犯の手段

一概に防犯と申しましたが、声を掛けられない為の防犯、声を掛けられた時の防犯のそれぞれを予め考える事が必要です。

声を掛けられないための防犯
・子どもと約束事をする

・知らない人には付いていかない。
・「知らない人」とはどういう人なのかを具体的に話す。
・一人で遊ばないようにする。
・家族の大人に「どこで、誰と、何をするのか。何時に帰ってくるのか」を伝えてから出かける。
・夕方遅くまで遊ばない。
・ゲームセンターやカラオケボックス、繁華街に子どもだけで近づかない。

子どもと話し合う機会を待つ事ですぐに始められる防犯で、約束を作る事で子ども自身が防犯意識を持つ事の出来る重要な対策ですが、 約束事の意図を子どもに本当に理解をしてもらう事は難しくもあります。
先述の通り、子どもは純粋で好奇心が旺盛であり、時にそうした良い面が判断力を鈍らせます。
「17時には帰る約束だったけど、友達がまだ遊ぶって言ってるし少しくらいなら大丈夫」と思う事も多いでしょう。
また、子どもだけにルールを増やしすぎると不満に繋がりかねませんので、子どもだけとは言わずに家族一人一人に約束を作り、子どもに協力できる環境を作る事も良いかもしれません。

・安全マップを子どもと一緒に作成する

子どもが行動する範囲にある狭い道や、街灯が少ない、人通りが少ない等の危険な場所を把握するのに有効な防犯手段です。
安全マップを作成する際は子どもと通学路、公園、友達の家までの道のりを歩き、どこが危険だと思うかを一緒に考えて安全マップに反映させてください。
更に助けを求める時にはどこに行くべきか(子ども110番の家、交番、お店など)もマップに記載しておくと良いでしょう。

・自宅周辺の整備

自宅の周りだから安全という訳ではなく、不審者は犯行が可能であると判断すれば容赦なく襲ってきます。
例えば、帰宅時に鍵を開けて自宅の扉を開けた途端に家に押し入られる、自転車置き場で自転車を置こうとしたら後ろから抱き着かれたなどの事案が実際に発生しています。
自宅建物の植木や障害物を減らし、可能であれば防犯カメラを設置して犯人が潜む事が出来る死角を作らない事や自転車置き場に人感ライトを設置する等の不審者が狙いにくい対策を講じる事が重要です。

・防犯パトロールなど地域で協力をする

自分以外の協力を必要とする為、簡単には実行に移せませんが人の目がある事は最も効果的な防犯です。
既にPTAや町内のボランティアで実施されている地域も多いかと思います。
しかし地域によっては若年層はボランティアには参加せず、半数以上が定年を迎えた方で構成される場合も多く、ボランティアの高齢化が問題となっています。
PTAや町内会などは敬遠しがちかもしれませんが、是非PTAや町内会での会合などで自分から相談や提案をしてみてください。

声を掛けられた時の防犯
・防犯ブザーを使用する

低コストではありますが、不審者に出くわした時に子どもがし得る手段の中でも特に効果に期待が出来る防犯です。
防犯ブザーを身に着ける際はすぐに手に取れる場所に付けてください。
ランドセルの中ではいざという時に使用する事が出来ず役に立ちません。
防犯ブザーは種類も豊富で子どもが持ちやすいキャラもののブザーや、ランドセルのベルトに付けられるブザー、誤動作防止の機能が付いたブザー、大音量にこだわったブザー、 中には「助けてー!」と代わりに助けを求められる音声付きの防犯ブザーもあります。
不審者が目の前にいるという恐ろしい状況でも使えるように、ご購入後は子どもと一緒に使い方を練習しましょう。
また、使いたい時に電池切れや故障という可能性もあります。テスト電池を使用しない、こまめに状態をチェックするなどいざという時にしっかり備えましょう。

・大声で助けを求める

防犯ブザーの項目で記載した通り、不審者が目の前にいる状況では子どもは耐え難い恐怖を感じ、なかなか声は出せないものです。
しかし自分の声の代わりに助けを求めてくれる防犯ブザーを持っていても、不審者に腕をつかまれたり、ブザーそのものを奪われてしまい使えない状況にされる事もあります。
いざという時に備えて、「助けてー!」と大声を出せる練習を子どもと一緒にしておきましょう。

・安全な建物へ逃げる

一度捕まってしまえば、子どもの力では抵抗する事が出来ないので、危険を察知し逃げられる状況であればすぐに逃げましょう。
安全マップの所でも少々書きましたが、子ども110番の家、交番、お店など大人の目がある場所に目星を付ければすぐに逃げる事が出来ますが、目星をつけた場所以外にもすぐ近くの民家でもためらわずに駆け込みましょう。
よっぽどの事情がない限りは助けに応じてくれる筈です。
中には既に、お子様が危険な目に遭わないようにと口を酸っぱくして伝えているから大丈夫と感じられている方もいらっしゃるかと思います。
しかし子どもは成人よりも心が未成熟で大人が思う以上に事の重大さを分かっていないものです。
筆者も小学生の頃には全校生徒に防犯ブザーを支給され、十分に気を付けるようにと言われていたものの、実際には「鳴ったらうるさいし恥ずかしい」という理由で防犯ブザーを携帯をしていない子どもも多く、通学路も好奇心のみで決められたルートから外れてみる…という事も良くありました。ですので既に防犯手段を講じられている方も、今一度お子様と防犯への認識と手段を確認してください。

位置情報で確実に見守る

本来であれば上記の防犯手段を尽くして声を掛けられない、掛けられたとしても誘拐されない事が一番良い事ですが、力づくで捕まってしまった時など、必ずしも誘拐されてしまう事がないとは言い切れません。
誘拐された時までもを考慮して備えてこそ、子どもを無事に守る事に繋がります。
そこで、保護者の目に届かない子どもをリアルタイムGPS発信機(以下GPS発信機)で見守り、常に位置情報を認知しておくという方法があります。

GPS発信機というと世間的にまだまだ馴染みの深いものではないかと思います。
筆者自身、アキバガレージに入社する以前は簡単には手に入らないものだと考えていました。
しかし実際はそんな事はなく、GPS発信機は誰でも手に入れる事が出来、種類も様々です。
昨今では子ども用の携帯電話(キッズケータイ)にGPS発信機能が当たり前に付いている時代となりました。

ではなぜ、GPS機能が付いている携帯電話があるにも関わらずGPS発信機専用の機器が必要なのか。それはGPS発信機の秘匿性にあります。

誰でも携帯電話を持つようになった今、防犯用にとキッズケータイを持たせているご家庭も多くあります。
しかしキッズケータイにGPS発信機能が当たり前に付いているという事は、子どもを狙いたい不審者であれば知っている筈です。
ですので携帯電話だけを持たせておいても、もし誘拐されて携帯電話を持っている事が不審者に気づかれ取り上げられてしまえば、たちまち携帯電話は無用の長物となってしまいます。

反面で、GPS発信機の端末は充電を行う時以外は鞄の奥底に忍び込ませておきますので、日常的に使う携帯電話よりも見つかりにくくなっています。
充電とは言っても電池容量は大きく、待機可能時間が約20日間に及ぶものもあります。(リアルタイムGPSマップステーション)しかしその電池容量に反して手のひらに乗るほど小型に作られています。
併せてGPS発信機は位置情報を測定する事の他に、位置を測定している事を他人に見つからない事も目的として作られておりますので無音ですしランプなどの光もありませんので秘匿性に優れています。
ですのでGPS発信機と携帯電話を比較するのではなく両方を持たせる事も検討してみてください。
万が一携帯電話・又はGPS発信機のどちらかが見つかってしまったとしても、不審者はこれ以上発信機はないだろうと安堵してそれ以上の探索はしなくなる可能性も大いにあります。
可能であれば念には念を入れ、GPS発信機と携帯電話の二段構えで備えると良いでしょう。

また、GPS発信機はただ位置情報を測定するだけではなく、任意の時間間隔で自動的に検索する機能、位置検索履歴の保存機能、 GPS発信機に備え付けられた防犯ブザーを鳴らすと位置情報を通知するSOS機能など精密機器ならではの多様な機能を搭載しています。

このように、子どもを常に見守り、万が一何かがあっても助け出せるように徹底して作られていますので何よりも保護者自身が好きな時間と 設定で位置として子どもを見守る事が出来るという他の防犯手段とは一線を画す利点があります。
防犯パトロールの地域ボランティアなどがあっても、やはりどうしても目の届かない場所もあるかと思います。
先述の防犯手段を講じた上で、万が一のときに子どもの位置情報を把握できるよう、携帯電話やGPS発信機を使用することで、 より子どもの安全を守る事に繋がり、ひいては誘拐事件あるいは誘拐未遂事件に遭わない為の防犯にも繋がります。

おわりに

ここまでお話し致しましたように子どもへの声掛け・誘拐事件は依然として増え、過去には残虐な事件も多く発生しております。
子どもの純粋さや弱さに付け込んだ悪質な犯行が後を絶たず、被害に遭わないようにとこちらが防犯をしていくしか方法がありません。
防犯とはあくまでも犯罪に巻き込まれない為の備え・保険のようなものではありますが、子どもの命は決して替えられません。
また、防犯を徹底して、もし声掛けにも誘拐にも遭わなかったとしても防犯をしている間、子どもも保護者も安心して生活出来る事は勿論、 防犯手段を講じていく事で子どもとの絆を深められたりと、得られるものはとても大きいです。
是非今一度、お子様やご家族で防犯とは何か、声掛け・誘拐に遭わない為にはどうしたら良いかを話し合ってください。
その際に当記事にて記載した防犯情報を参考にして頂き、大切なお子さんの安全を守る事に一役買う事が出来ましたら、執筆を致しました私としても幸いでございます。

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